月給から手取りを計算する方法(計算手順と実例)
手取り(差引支給額)は「総支給額 − 社会保険料 − 源泉所得税 − 住民税」で計算できます。例えば東京都で月給30万円・30歳・扶養なしの場合、2026年7月時点の概算で手取りは約249,610円です。本記事では、この計算をどう積み上げるのかを、令和8年度の料率を使った2つの実例で一行ずつ解説します。
手取り計算の基本式
手取りの計算は、次の3段階に分けると迷いません。
- 総支給額を確定する:基本給+各種手当(通勤手当含む)+残業代
- 社会保険料を計算する:標準報酬月額 × 各料率(本人負担分)
- 税金を計算する:課税ベース=(総支給額 − 非課税通勤手当)− 社会保険料 に対して、源泉徴収税額表で所得税を求める。住民税は市区町村の通知額
ここで登場する標準報酬月額とは、報酬月額(通勤手当を含む)を等級表に当てはめた金額のことです。社会保険料は実際の給与額そのものではなく、この標準報酬月額に料率を掛けて計算します。
控除される項目を一つずつ理解する
| 控除項目 | 令和8年度の料率(本人負担) | 対象 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 都道府県別料率の折半(例:東京都9.85%の半分) | 全員 |
| 介護保険料 | 全国一律1.62%の折半 | 40〜64歳のみ |
| 厚生年金保険料 | 18.3%の折半(2017年9月以降固定) | 全員 |
| 雇用保険料 | 一般の事業0.5%(建設・農林水産・清酒製造は0.6%) | 全員 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23%の折半(2026年4月開始) | 全員 |
| 源泉所得税 | 源泉徴収税額表(月額表)による | 課税ベースに応じて |
| 住民税 | 市区町村の通知額(特別徴収) | 前年所得に応じて |
健康保険料率は都道府県ごとに異なります。お住まいの(勤務先の適用がある)都道府県の料率は令和8年度47都道府県一覧で確認できます。子ども・子育て支援金は2026年4月に始まった新項目で、健康保険料と併せて徴収されます(詳しい解説はこちら)。
実例①:月給30万円・30歳・扶養0人(東京都・2026年7月)
もっとも標準的なケースです。標準報酬月額は30万円、40歳未満なので介護保険料はかかりません。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 総支給額 | — | 300,000円 |
| 健康保険料 | 標準報酬30万円 × 9.85% ÷ 2 | −14,775円 |
| 厚生年金保険料 | 30万円 × 18.3% ÷ 2 | −27,450円 |
| 雇用保険料 | 30万円 × 0.5% | −1,500円 |
| 子ども・子育て支援金 | 30万円 × 0.23% ÷ 2 | −345円 |
| 社会保険料 計 | — | −44,070円 |
| 源泉所得税(甲欄・扶養0人) | 課税ベース=30万円−44,070円 を税額表に当てはめ | −6,320円 |
| 手取り | 300,000 − 44,070 − 6,320 | 249,610円 |
各行を確認すると、健康保険・厚生年金・子ども・子育て支援金は「÷2」が入っています。これは労使折半、つまり同額を会社も負担しているためです。雇用保険は折半ではなく、本人負担率0.5%をそのまま掛けます。源泉所得税は、社会保険料を引いた後の課税ベースを国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」の月額表・甲欄(扶養控除等申告書を提出した主たる給与)に当てはめて求めます。
なお住民税は前年の所得によって決まり人により異なるため、この例には含めていません。実際の手取りは、ここからさらに住民税の月割額が引かれた金額になります。
実例②:月給30万円+通勤手当2万円・45歳・扶養2人(東京都)
次は、通勤手当・介護保険・扶養親族という3つの要素が加わるケースです。ポイントは標準報酬月額が32万円になること。通勤手当は所得税では非課税(公共交通機関利用で月15万円まで)ですが、社会保険の標準報酬月額の算定には含まれるため、報酬月額32万円で等級が決まり、社会保険料は32万円ベースで計算されます。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 総支給額 | 月給30万円+通勤手当2万円 | 320,000円 |
| 健康保険料 | 標準報酬32万円 × 9.85% ÷ 2 | −15,760円 |
| 介護保険料(40〜64歳) | 32万円 × 1.62% ÷ 2 | −2,592円 |
| 厚生年金保険料 | 32万円 × 18.3% ÷ 2 | −29,280円 |
| 雇用保険料 | 32万円 × 0.5% | −1,600円 |
| 子ども・子育て支援金 | 32万円 × 0.23% ÷ 2 | −368円 |
| 社会保険料 計 | — | −49,600円 |
| 源泉所得税(甲欄・扶養2人) | 課税ベース=(32万円−通勤手当2万円)−49,600円 | −2,880円 |
| 手取り | 320,000 − 49,600 − 2,880 | 267,520円 |
実例①との違いを整理します。
- 介護保険料の登場:45歳なので40〜64歳対象の介護保険料(全国一律1.62%・折半)が上乗せされます。
- 通勤手当の二重の扱い:社会保険料の計算には含まれる一方、源泉所得税の課税ベースからは除かれます。そして非課税のまま支給されるため、手取りには全額含まれます。
- 扶養2人で源泉税が減少:甲欄では扶養親族等の数が多いほど税額が下がり、この例では月2,880円です。数え方の詳細は扶養親族等の数の記事をご覧ください。
2つの実例からわかること
同じ「月給30万円」でも、年齢・通勤手当・扶養人数によって控除額の構成は大きく変わります。社会保険料は実例①の44,070円に対し実例②では49,600円と増えている一方、源泉所得税は6,320円から2,880円へ減っており、手取りを左右する要因が一つではないことがわかります。自分のケースの正確な金額を知りたい場合は、条件を入力するだけで計算できるシミュレーターの利用が確実です。
よくある質問
月給30万円の手取りはいくらですか?
東京都・30歳・扶養0人の場合、2026年7月時点の概算で手取りは約249,610円です。内訳は社会保険料が計44,070円(健康保険14,775円・厚生年金27,450円・雇用保険1,500円・子ども・子育て支援金345円)、源泉所得税が6,320円です。住民税がある場合はここからさらに差し引かれます。
手取りの計算式を教えてください。
手取り=総支給額−社会保険料−源泉所得税−住民税です。社会保険料は標準報酬月額に料率を掛けて求め、源泉所得税は(総支給額−非課税通勤手当)−社会保険料を課税ベースとして源泉徴収税額表で求めます。
通勤手当は手取りに含まれますか?
はい。公共交通機関利用の通勤手当は月15万円まで所得税非課税のまま支給されるため、手取り額に含まれます。ただし社会保険の標準報酬月額の算定には含まれるので、通勤手当によって等級が上がり社会保険料が増えることがあります。
扶養家族がいると手取りは増えますか?
源泉所得税が下がるため手取りは増えます。源泉徴収税額表の甲欄では扶養親族等の数が多いほど税額が小さくなり、例えば同じ課税ベースでも扶養0人と2人では月々の源泉所得税に数千円の差が出ます。