源泉徴収の「扶養親族等の数」の数え方
毎月の源泉所得税は、国税庁の源泉徴収税額表に「社会保険料控除後の給与額」と「扶養親族等の数」を当てはめて決まります。この「数」は家族の人数そのものではなく、独自のカウントルールがあります。この記事では、基本の数え方から加算ルール、数え間違いの影響まで整理します。
ベースは扶養控除等申告書
扶養親族等の数は、従業員が会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記載内容を基に数えます。この申告書を提出している主たる給与には税額表の甲欄が適用され、提出のない従たる給与には乙欄が適用されます。乙欄では扶養親族等の数によるカウントは使いません。
結婚・出産・子の就職など家族の状況が変わったときは、申告書の異動提出を受けて数を洗い替えるのが実務の基本です。
基本の数え方
甲欄適用者の扶養親族等の数は、次のルールでカウントします。
| 対象 | カウント |
|---|---|
| 源泉控除対象配偶者 | +1 |
| 控除対象扶養親族(その年12月31日時点で16歳以上) | 1人につき+1 |
| 16歳未満の扶養親族(年少扶養親族) | 数に含めない |
ポイントは3つあります。
- 配偶者は「源泉控除対象配偶者」に該当する場合のみ+1 — 本人と配偶者の所得見積額の要件で決まります。共働きで要件を外れる場合はカウントしません。
- 扶養親族は「その年12月31日時点で16歳以上」が対象 — 年の途中で16歳になる子は、その年から控除対象扶養親族として+1です。
- 16歳未満は数えない — ただし後述のとおり、16歳未満でも障害者加算の対象にはなります。
障害者・ひとり親などの加算ルール
人数のカウントに加えて、次の場合には扶養親族等の数に加算します。
| 加算事由 | 加算数 |
|---|---|
| 本人が障害者(特別障害者を含む) | +1 |
| 本人が寡婦 | +1 |
| 本人がひとり親 | +1 |
| 本人が勤労学生 | +1 |
| 同一生計配偶者・扶養親族が障害者 | 1人につき+1 |
| 同一生計配偶者・扶養親族が同居特別障害者 | 1人につき+2 |
注意したいのは、16歳未満の年少扶養親族も障害者加算の対象になる点です。人数としてはカウントしない子でも、障害者に該当すれば+1(同居特別障害者なら+2)を加えます。また、本人の事由(障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生)は重複して該当すればそれぞれ加算します。
国外居住親族の注意点
海外に住む親族を扶養親族等の数に含めるには、親族関係書類や送金関係書類などの要件を満たす必要があります。書類が確認できない国外居住親族はカウントできないため、扶養控除等申告書を受理する段階で書類の有無をチェックする運用にしておくと、年末調整時の手戻りを防げます。
数が1人違うと源泉税はいくら変わるか
扶養親族等の数は、源泉徴収税額表の列を1つずらすだけで毎月の税額を変えます。目安として、月給30万円(東京都・社会保険料控除後約25.6万円)のケースでは次のようになります。
| 扶養親族等の数 | 源泉所得税(月額・甲欄) |
|---|---|
| 0人 | 6,320円 |
| 2人 | 2,880円 |
数え間違いは毎月の源泉徴収に直結し、年末調整での大きな過不足の原因になります。申告書の記載と給与計算ソフトへの登録内容が一致しているか、異動のたびに確認しましょう。
よくある質問
16歳未満の子どもは扶養親族等の数に入れますか?
入れません。16歳未満の子(年少扶養親族)は源泉徴収の「扶養親族等の数」にはカウントしないのが原則です。ただし、その子が障害者に該当する場合は障害者としての加算対象になります。
共働きの配偶者は扶養親族等の数に入れられますか?
「源泉控除対象配偶者」に該当する場合のみ+1です。該当するかどうかは本人と配偶者それぞれの所得見積額の要件で決まり、扶養控除等申告書に記載した内容がベースになります。共働きで配偶者の所得が要件を超える場合はカウントしません。
扶養親族等の数が違うと源泉所得税はどれくらい変わりますか?
例えば月給30万円(東京都・社会保険料控除後約25.6万円)の場合、扶養親族等の数が0人なら源泉所得税は6,320円、2人なら2,880円です(SEISEIエンジンによる2026年7月時点の概算。通勤手当等の条件で変わります)。1人違うだけで毎月の税額が明確に変わります。
海外に住む親族を扶養親族等の数に含めるには何が必要ですか?
国外居住親族については、親族関係書類や送金関係書類などの要件を満たすことが必要です。書類が揃っていない親族は扶養親族等の数に含められないため、扶養控除等申告書の受理時に確認してください。