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給与計算のやり方 完全ガイド【2026年版】

最終更新: 2026年7月12日 ・ カテゴリ: 給与計算の基礎

給与計算は「総支給額を確定し、社会保険料と税金を順番に差し引いて、差引支給額(手取り)を出す」という流れで行います。手順そのものはシンプルですが、料率が毎年変わること、通勤手当のように税と社会保険で扱いが異なる項目があることから、ミスが起きやすい業務でもあります。本記事では2026年(令和8年度)時点の実務手順を、担当者になったばかりの方にもわかるように解説します。

目次
  1. 給与計算の全体手順(6ステップ)
  2. ステップ1: 総支給額を確定する
  3. ステップ2: 社会保険料を計算する
  4. ステップ3〜4: 課税対象額と源泉所得税
  5. ステップ5〜6: 住民税と差引支給額
  6. 毎年変わるもの:料率改定カレンダー
  7. よくあるミス
  8. 社労士・ソフトに切り替えるタイミング
  9. よくある質問

給与計算の全体手順(6ステップ)

毎月の給与計算は、次の6つのステップを順番に行います。順序が重要で、特に「社会保険料を引いてから源泉所得税を計算する」という流れを崩すと金額がずれます。

ステップ内容ポイント
1. 総支給額の確定基本給+各種手当+残業代を集計勤怠締めが起点
2. 社会保険料の控除健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険など標準報酬月額×料率
3. 課税対象額の算出(総支給額−非課税通勤手当)−社会保険料源泉税の計算ベース
4. 源泉所得税の控除源泉徴収税額表(月額表)で税額を求める甲欄・乙欄と扶養人数
5. 住民税の控除市区町村からの通知額を控除(特別徴収)計算不要・通知どおり
6. 差引支給額の確定総支給額−控除合計=手取り明細を作成し支給

ステップ1: 総支給額を確定する

まず勤怠データを締め、その月に支払うべき金額をすべて集計します。基本給、役職手当や住宅手当などの固定的手当、通勤手当、そして残業代(割増賃金)です。残業代は労働基準法37条に基づく割増率での計算が必要で、詳しくは残業代の計算方法で解説しています。

ここで確定した総支給額が、以降のすべての計算の土台になります。勤怠の集計漏れや手当の付け忘れは、後工程の控除額まで連鎖的に狂わせるため、最初のステップこそ丁寧に行いましょう。

ステップ2: 社会保険料を計算する

社会保険料は「標準報酬月額 × 料率」で計算します。標準報酬月額とは、報酬月額(通勤手当を含む)を等級表に当てはめた金額のことで、実際の給与額そのものではなく、この等級化された金額に料率を掛ける点が特徴です。

ステップ3〜4: 課税対象額と源泉所得税

源泉所得税の計算ベース(課税対象額)は次の式で求めます。

課税対象額 =(総支給額 − 非課税通勤手当)− 社会保険料

公共交通機関利用の通勤手当は月15万円まで所得税非課税なので、まず総支給額から除きます。そこからステップ2で計算した社会保険料(本人負担分)を差し引いた金額が課税対象額です。

この金額を国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」の月額表に当てはめ、税額を求めます。扶養控除等申告書を提出している主たる給与であれば甲欄、提出のない従たる給与(副業先など)は乙欄を使います。甲欄では扶養親族等の数によって税額が変わるため、扶養親族等の数の数え方も確認しておきましょう。

ステップ5〜6: 住民税と差引支給額

住民税(特別徴収)は、市区町村から毎年届く「特別徴収税額決定通知書」に記載された月割額をそのまま控除します。会社側で計算する必要はなく、通知どおりに控除・納付するだけですが、6月から新年度の金額に切り替わる点に注意が必要です。

最後に、総支給額からすべての控除額(社会保険料+源泉所得税+住民税など)を差し引いた金額が差引支給額(手取り)です。具体的な数字での計算例は手取りの計算方法で2つのモデルケースを紹介しています。

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毎年変わるもの:料率改定カレンダー

給与計算で最も怖いのは「去年の料率のまま計算し続けること」です。改定時期は項目ごとに異なるため、年間カレンダーとして押さえておきましょう。

時期変わるもの備考
1月〜源泉徴収税額表国税庁が毎年公表。1月支給分から新しい年分の税額表を使用
3月分〜健康保険料率・介護保険料率協会けんぽの都道府県単位料率が改定。多くの会社では4月支給の給与から反映
4月〜雇用保険料率年度ごとに見直し。令和8年度の本人負担は一般の事業0.5%
(固定)厚生年金保険料率18.3%で固定(2017年9月以降改定なし)

なお2026年は、4月から子ども・子育て支援金(0.23%・労使折半)の徴収が始まった年でもあり、控除項目そのものが増えるという大きな変化がありました。

よくあるミス

社労士・ソフトに切り替えるタイミング

従業員数名のうちは手計算やExcelでも回りますが、次のようなサインが出たら切り替えを検討すべきです。

役割分担の目安としては、毎月の計算はソフトで自動化し、判断を伴う手続き(労務トラブル、助成金、就業規則)は社労士に相談するのが費用対効果の高い組み合わせです。給与計算ソフトなら料率改定が自動反映されるため、本記事で挙げた「よくあるミス」の大半を仕組みで防げます。

よくある質問

給与計算は何から始めればよいですか?

まず勤怠データを締めて総支給額(基本給+各種手当+残業代)を確定させます。その後、標準報酬月額に基づいて社会保険料を控除し、課税対象額を求めて源泉所得税・住民税を差し引く、という順番で進めます。順序を守ることが正確な計算の第一歩です。

給与計算の料率は毎年いつ変わりますか?

健康保険・介護保険の料率は毎年3月分(多くの会社では4月支給の給与)から、雇用保険料率は4月から、源泉徴収税額表は1月から新しいものに切り替わります。厚生年金保険料率は2017年9月以降18.3%で固定されています。

通勤手当は給与計算でどう扱いますか?

公共交通機関を利用する通勤手当は月15万円まで所得税が非課税ですが、社会保険の標準報酬月額の算定には含まれます。つまり「所得税では除く・社会保険では含める」という二重の扱いが必要で、給与計算で最も間違えやすいポイントの一つです。

社労士やソフトに切り替えるべきタイミングはいつですか?

従業員が増えて手計算の確認に時間がかかるようになった時、料率改定の反映漏れが起きた時、賞与や入退社の処理が頻繁になった時が目安です。計算そのものはソフトで自動化し、判断が必要な労務手続きは社労士に相談する、という分担が効率的です。

本記事は一般的な情報提供です。個別の事情については税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。