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通勤手当の非課税限度額と社会保険の扱い

最終更新: 2026年7月12日 ・ カテゴリ: 手当・非課税

通勤手当は、公共交通機関の利用なら月15万円まで所得税が非課税です。ただし「非課税=何にも影響しない」ではありません。社会保険の標準報酬月額には通勤手当が含まれるため、等級が上がって社会保険料が増えることがあります。この記事では、非課税限度額のルールと社会保険・雇用保険での扱いを実例つきで解説します。

目次
  1. 所得税の非課税限度額
  2. 落とし穴 — 社会保険の標準報酬月額には含まれる
  3. 実例 — 通勤手当2万円で保険料はいくら変わるか
  4. 雇用保険料は実際の支給額ベース
  5. 給与計算実務でのチェックポイント
  6. よくある質問

所得税の非課税限度額

通勤手当の所得税の扱いは、通勤手段によって次のように分かれます。

非課税限度額を超えて支給した部分は給与として課税され、源泉徴収の対象になります。給与計算では、通勤手当を「非課税分」と「課税分」に分けて登録するのが基本です。

落とし穴 — 社会保険の標準報酬月額には含まれる

ここが通勤手当の最大の落とし穴です。所得税で非課税の通勤手当も、社会保険(健康保険・厚生年金)の標準報酬月額の算定には含まれます。

標準報酬月額は基本給だけでなく通勤手当などの各種手当を含めた報酬月額を等級表に当てはめて決まるため、通勤手当を加えた結果として等級が1つ上がり、健康保険料・厚生年金保険料が毎月増えることがあります。「非課税だから保険料にも関係ない」という思い込みは、算定基礎届や入社時の資格取得届で通勤手当を漏らすミスにつながります。

実例 — 通勤手当2万円で保険料はいくら変わるか

月給30万円の従業員に通勤手当2万円(月額)を支給すると、報酬月額は32万円となり、標準報酬月額が30万円から32万円に上がるケースでは本人負担は次のように変わります(東京都・令和8年度、労使折半後の本人負担額)。

項目通勤手当なし(標準報酬30万円)通勤手当2万円(標準報酬32万円)
健康保険料(東京都 9.85%)14,775円15,760円
厚生年金保険料(18.3%)27,450円29,280円

健康保険料だけでも月985円、厚生年金と合わせると月2,815円の負担増です。40〜64歳であれば、これに介護保険料(全国一律1.62%・労使折半)の差も加わります。通勤手当は本人の実費補填の性格が強い一方で、社会保険料には確実に反映される——この非対称を押さえておくことが重要です。

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雇用保険料は実際の支給額ベース

雇用保険料は健康保険・厚生年金と仕組みが異なり、標準報酬ではなく実際に支給した賃金額(通勤手当込み)に料率を掛けます。令和8年度の本人負担率は一般の事業で0.5%(建設・農林水産・清酒製造は0.6%)です。

月給30万円+通勤手当2万円の場合、雇用保険料の本人負担は32万円 × 0.5% = 1,600円となります。通勤手当が変わった月は雇用保険料もその月から変わる点が、等級制の健康保険・厚生年金との違いです。

給与計算実務でのチェックポイント

よくある質問

通勤手当はいくらまで非課税ですか?

電車・バスなど公共交通機関を利用する場合、合理的な運賃の範囲で月15万円まで所得税が非課税です。マイカーや自転車で通勤する場合は通勤距離に応じた非課税限度額が別に定められています。具体的な金額は国税庁の非課税限度額の表で確認してください。

非課税の通勤手当でも社会保険料は増えますか?

増えることがあります。通勤手当は所得税では非課税でも、社会保険の標準報酬月額の算定には含まれます。通勤手当を加えた報酬月額で等級が1つ上がると、健康保険料・厚生年金保険料の本人負担が毎月増えます。

通勤手当2万円で社会保険料は実際いくら変わりますか?

月給30万円に通勤手当2万円を加えると、標準報酬月額が30万円から32万円に上がるケースでは、健康保険料の本人負担(東京都・令和8年度)は14,775円から15,760円に、厚生年金保険料は27,450円から29,280円になります。

雇用保険料の計算に通勤手当は含まれますか?

含まれます。雇用保険料は標準報酬ではなく実際に支給した賃金額(通勤手当込み)に料率を掛けます。令和8年度の本人負担率は一般の事業で0.5%です。月給30万円+通勤手当2万円なら32万円×0.5%=1,600円が本人負担になります。

本記事は一般的な情報提供です。個別の事情については税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。